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◎就業規則は定期的に見直しましょう。法律改正により、就業規則の変更が必要となるケースは少なくありません。
ここでは就業規則を中心に労働契約全般、労使の契約について考えてみます。御社に合った就業規則を作成するために・・・
Q3.1つの会社(事業場)で複数の就業規則を作成することは可能か?
Q6.退職後の競業避止規定(同業他社への転職禁止規定)は有効?
Q7.就業規則を一部変更した時、労基署へ全て(全条文)を届出る必要はあるか?
Q10.労使協定締結の際、過半数労働者の中に協定内容に該当しない労働者は
含まれるか?
A.ある
ただし、法令や労働協約に反する部分については無効となります。
例)
よくあるのが、『退職する際には1ヶ月以上前に申し出なければならない』とした就業規則があります。しかしこの場合、法律では2週間と定めてありますので『1ヶ月を2週間』と修正されます。
これが、『法律に反する部分は無効とする』という意味です。
就業規則で『1ヶ月』となっていても法で定められた『2週間』を超える部分(2週間)については、無効(効力なし)という事になります。
ご存じの通り、就業規則は労働者の意見を聴いて労基署へ届出なければなりません。ただこれは、『許可を得た』ということではありません。 なので、このような考え方になります。
【つぶやき】
しかしながら、各企業独自の憲法ともいえる就業規則なので、会社の思いを込めて作成することは大切なことです。御社に合った味のある就業規則を作成しましょう。
就業規則の記載事項は以下の3つに分かれます。
1.絶対的必要記載事項(記載が義務付けられている事項)
2.相対的必要記載事項(その定めをする場合には記載義務のある事項)
3.任意的記載事項(上記以外事項)
それでは記載事項の中身の確認をします。
1.絶対的記載事項
①始業・就業の時刻、休憩時間、休日、交代制の場合は終業時転換
②賃金の決定、計算、支払い方法、賃金の締切り、支払い時期及び昇格
③退職(解雇の事由を含む)
2.相対的必要記載事項
①退職手当(労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払方法、支払時期)
②臨時の賃金(退職手当を除く)及び最低賃金額
③労働者に負担させる食費、作業用品等
④安全及び衛生
⑤職業訓練
⑥災害補償及び業務外の傷病扶助
⑦表彰及び制裁
⑧その他、その事業場の労働者のすべてに適用される定め
3.任意的記載事項
・法令や労働協約に反しない限り自由に記載できる
ここでは、記載事項の列挙で止めておきます。ご参考にてください。
※正社員とパート社員で処遇が違う場合は、就業規則の中で明確に分けておく必要があります。
A.可能である
可能というよりもむしろ望ましいと思われます。
その理由として、多くの会社では雇用形態によって待遇が違うためです。就業規則は『全ての労働者を対象に定めることが必要』であるため、社内的には待遇が違っていても就業規則の中で対象労働者が明確に分かれてない場合は大変なことになる可能性があります。
例えば、①退職金や②賞与といった規定は、正社員とパート社員とでは待遇の違うケースがほとんどです。しかし、就業規則で対象労働者が明確にされていないことが原因で正社員と同様に支払わなければならなくなったこともあります。
したがって『パート社員』『嘱託社員』『契約社員』など正社員以外の社員割合が、会社全体で高い割合を占める会社では、就業規則ごと別々に作成した方が働く社員にとっても分かり易く、また会社とっても扱いやすいと思われます。
※1つの会社で複数の就業規則を作成した場合、その全てを労働基準監督署へ届出なければなりません。 また、一部の就業規則変更(例えば、パート就業規則のみ変更)であっても全員に周知することが必要です。
A.周知されていれば有効である
ただし、周知していない就業規則は無効です。
●周知とはいずれかの方法によるものです
①見やすい場所への掲示、又は備え付け
②書面を労働者へ交付
③必要なときに容易に確認できる状態
※有効性とは裏腹に、常時10人以上の労働者を使用する会社は、就業規則の届出が義務付けられているので届出のない場合は罰則規定があります。
また、「必要記載事項」の一部を欠く就業規則の効力についても、有効ではありますが違反となりますので注意して下さい。
A.限られた範囲内で有効
【基本的な考え】
●就業規則は就業時間内で有効。その効力は業務終了後や休日までは及ばない。
◆有効と判断された例
①遅刻や欠勤の原因となる副業
②会社独自の技術ややり方等の漏えいとなる副業
③同業他社での副業
④会社のイメージダウンにつながる副業
しかし、今後の裁判等ではこれまでと違った見解が示されるケースが出てくると思われます。なぜなら、現在は『副業禁止規定自体が無効』という考えがあるからです。実際に副業禁止規定を廃止した企業も数多くあります。
きっと、『昇給しない』、『賞与も少ない』、『ワークシェアリングで業務も少ない』という中で、日本全体の所得水準・労働力を上げるためにも『副業禁止規定無効』という動きなのでしょう。
ただ、副業を完全に肯定するのであれば、現在の労基法も見直さなければなりません。それは、現在の労基法では「2つ以上の会社で働いた場合でも1週間40時間、1日8時間を超えれば残業手当を支払わなければならない。」という規則になっているのです。しかもその一方で、その際どちらの企業が残業手当を支払うかの規程がないのです。(説が分かれております)⇒参考;『労働時間編Q1』
また、現在の労基法では36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)で締結された時間以上の残業・休日労働は禁止しております。これは、労働者本人が働きたくても働けない法律になっているのです。
企業側としてもダラダラと残業されて余分な経費を使うより、効率良く業務を遂行して終業時刻に退社してもらって次の職場で稼いでもらう方が良いのかも知れませんね。
【つぶやき】
しかしながら、『職務に専念してもらうため』・『情報の漏えいを防ぐため』、是非定めておきたい必要な項目です。
A.限られた範囲内で有効
【基本的な考え】
● 退職後にどのような職に就いても良い。(職業選択の自由)
◆有効となる場合
●競業避止規定が最小限で合理的である時
最小限とは、
①同業他社へ就職できない期間(最長で2年くらいが妥当)
②同業他社へ就職できない地域
②業務の範囲
これらのことに合理性があるか?ないか?で判断します。違う言い方をすれば『総合的・客観的にみて実害がどの程度にまで及ぶ可能性があるか』ということでしょうか。したがって、退職する際の立場よって実害の程度は違ってくるので、その辺のことも踏まえて合理性を判断します。
【つぶやき】
限られた範囲内での有効性ではありますが、規定として定めておくことは大切です。判例の中には有効と認めたものもありますし、『同業他社へ就職ができない期間と地域』を限定したことが合理的と認められ、退職金の減額条項を有効としたものもあります。(三晃社事件)
A.変更部分のみで良い
実際に届出をするのは、『就業規則変更届』、変更部分の『新旧条文』と『意見書』。
意見書は、過半数代表者の意見を聴きます。したがって、正社員対象の就業規則の変更でも、事業場内にパート労働者がいる場合には、パート労働者も含めた過半数代表者の意見を聴かなければなりません。
A.有効
労基法では、就業規則の作成・変更に対して『労働者からの同意』を求めてはいません。求められていることは以下の3つです。
①過半数代表者からの意見を聴く(反対意見でも構わない。)
↓
②労基署へ届出(意見書も)
↓
③社内での周知
以上の段階を踏めば変更可能です。
ただし、変更することによって『労働者に不利益変更が生じる場合』には合理性が必要です。⇒(Q9へ)
A.合理性と周知があれば有効
〈不利益変更とは〉
・労働時間延長、賃金低下、退職金減額、休日数減少など労働者の待遇が悪くなる
変更のことです。これは、法廷内・法定外は問いません。
もう少し詳しく説明しますと、
以前ある会社から、
「休日日数を減らしたいが、法定休日数を守っていれば不利益変更にならないですよね?」
と相談を受けました。⇒これは不利益変更になります。
労働基準法第1条②
『この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならない・・・』(珍しく条文抜粋)
労基法の条文から考えると、「法定休日の日数を守っていても労働条件の低下をしてはいけない。」ということです。
ただし、どのような場合でも低下させれないという訳ではなく、
解釈例規では、
『社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合には本条に抵触しない』 として、条件付きで就業規則の不利益変更を認めています。
なお、2008年3月より施行された『労働契約法第8条、9条、10条』でこの辺のことは明確化されております。
●私的に要約すると、
不利益変更は⇒①原則は認められない
②例外的に合理的な理由がある場合には認められる
◎『合理的』の判断基準(判例;大曲市農協事件・第四銀行事件・みちのく銀行事件)
1.会社経営上の高度の必要性(事業の存続等に不可欠かを判断)
2.労働者に与える不利益の程度
3.社会的妥当性(一般的な状況と照らし合わせて判断)
4.変更後の内容自体の相当性
5.交渉の経緯(一方的ではないか)
6.代償措置(不利益に変わる利益を検討・実施しているか)
これらを総合的に判断して、不利益変更が合理的であれば認めています。ただし、周知手続をしなければ効力無し。
※不利益な変更で合理性が無くても、労働者と合意すれば変更可能です。
【つぶやき】
いずれにしても、『会社あっての従業員の生活』『従業員あっての会社存続』です。変わりとなる企業(従業員)はいくらでもある(いる)。と双方が考えてしまっては、会社と従業員とが冷めた関係になってしまします。労使でよく話し合って決めましょう。
A.含まれる
労使協定は事業場ごとでの締結を原則としています。なので、事業場の全労働者で代表者を選出しなければなりません。
例えば、代表的な労使協定の中に『時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)』という協定がありますね。この協定は、協定で定めた時間以内であれば残業することが出来る協定です。
この協定を締結する際に、事業場内に時間外労働(残業)をしないパート社員がいたとしても、事業場で働くことに変わりはないので、代表者選出の際の分母にしなければいけません。
これは、他の労使協定(一年単位の変形労働時間制に関する協定、休憩の一斉付与の例外に関する協定など)についても同じです。
A.可能である
個人ごとでも課ごとでも可能です。
フレックスタイム制を導入するためには、労使協定を締結(届出不要)しなければなりませんね。この労使協定を締結する際に、『労働者の範囲』を定めなければなりません。
つまり、この『労働者の範囲』さえ明確に定めてあれば、個人単位でもフレックスタイム制を導入することは可能という訳です。
なお、一人だけのフレックスタイム制を導入する労使協定も『事業場の過半数代表者』との締結が必要です。
担当: 伊藤(いとう)
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