Q11.喫煙時間は労働時間になる?

A. どちらのケースもある
  @労働時間となるケース⇒(イ)その場での喫煙
                   (ロ)業務にすぐ対応しなければいけない喫煙(判例あり)
  A労働時間とならないケース⇒私用での中抜けと同じ扱いとなる時(私の見解)

 

 【解説】

上記の問題を考えるとき、以下の3つの原則からブレないようにしましょう。

 T.労働時間中、従業員は職務に専念する義務があります。
 U.休憩時間とは、労働する義務から解放が保障されている時間です。
 V.労働時間計算は、実労働時間をもとにします(ノーワーク・ノーペイ)

 

それでは、

 ・労働時間となるケース@−(イ)
  この場合は、自分の席でお茶やコーヒーを飲みながら業務を行う社員と考え方は同じです。労働時間となります。もっとも、『労働時間中、従業員は職務に専念する義務』がありますので、就業規則等で喫煙を許可制にしたり喫煙の回数を決めることは可能と考えられます。

 

 ・労働時間となるケース@−(ロ)
  これは、有名な判例があります。最初は『喫煙時間は休憩時間である』という事で、労災認定されていなかった事件です。その後裁判を経て、喫煙時間が労働時間となったために『長時間労働』となり労災認定されました。(大阪の居酒屋チェーン店店長)

 この判例で喫煙時間=労働時間となった理由は以下の通り、
  『店舗内で喫煙していたとしても、何かあればすぐに対応できる状態だったから、労働から完全に解放されているとは言えない』 

 逆に考えると『何かあってもすぐに対応しなくても良い(あるいは分煙などで、すぐに対応できる状態にない)場合は、労働から完全に解放されている場合は、休憩時間となる可能性も十分にある。』ということ。

 判例としては「喫煙時間=労働時間」でしたが、その反面「喫煙時間=休憩時間」になりえることが浮び上るような判決でした。

 しかし、実務的には『喫煙時間=休憩時間』という考えはかなり無理があります。なぜなら、休憩の原則は一斉休憩だからです。ちなみに判例は、一斉休憩の原則が除外される飲食のお仕事でした。

 

 ・労働時間とならないケース
 就業時間中でも家庭の事情等により、1時間や2時間中抜けをして会社へ戻ってくる場合は労働時間でも一斉休憩時間でもありません。欠勤時間です。この場合、ノーワーク・ノーペイを理由に労働時間としないことは当然可能です。
 喫煙時間を許可制にしてこれを就業規則等で規定し、中抜けと同じように扱うことができれば、『労働時間とならない』と解されます。
 ただし、許可制にすることへの諸問題はあるかと思いますが・・・

 今後の判例に期待します。

 

【つぶやき】
 この問題は非常に難しいですね。まず、喫煙する人と喫煙しない人とでは意見がはっきり分かれます。ただ、会社内での分煙が50%以上の企業で行われていることや、社会的にも分煙が進む中で喫煙者サイドとしては苦しい立場と言わざるを得ません。なぜなら、裁判では『客観性』や『社会的妥当性』などを重視しますから。今後この問題に対する判例増える可能性は大いにありますので注目していきます。

 まぁ、個人的には最終的に喫煙者のモラルの問題だと思います。会社内で啓発活動をして、喫煙する者しない者双方の話し合いの中でズレている意見のすり合わせをすることが一番望ましいですね。

 

 上記の見解のように、一方的に『許可制にする』という方法はありますが、

 逆に喫煙者から
  「なぜ、自分の席でお茶(コーヒー)を飲みながら仕事することは認めているんだ。俺たちは、分煙所へ行きたくて行っているんじゃない。コーヒーも休憩室で飲むようにして許可制にしてくれ。」
  「なぜ、自分たちだけ席から離れることを理由に労働時間とならないのか?椅子に座っていてもボケェ〜と何もしていない社員もいるぞ。」
  「トイレに行く時も許可制にしろ。」

なんて事を言い出され、つまらない職場になってしまう可能性もありますからね。

▲このページのトップに戻る