A.どちらのケースもある

・事業場内での着替えを義務づけた場合→労働時間となる
・義務付けでいない場合→客観的に妥当であれば、就業規則や慣行によって判断する。

 

実際の判例を見てみましょう。

1.労働時間となったケース
  「作業服の着用が常に業務性を有するとは限らないが・・・。事業場内での作業服の着用を義務づけられている場合には、業務開始の準備行為として業務に含まれる。」(石川播磨重工事件、三菱重工業長崎造船所事件)

2.労働時間とならなかったケース
  「作業するために不可欠なものであっても、働くための準備行為なので労働力そのものではない。・・・就業規則の中に規定として定めてあればそれに従い、就業規則にその定めがない場合は職場の慣行で決めることが妥当である。」(日野自動車工業事件)として着替えの時間が労働時間となりませんでした。

 

 ※『労働時間となる』とした三菱重工業長崎造船所事件で、「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかを客観的に判断し、労働契約・就業規則・労働協約等の定めで決定されるものではない。(以下略)」(最高裁)としています。

 

 【つぶやき】
 日野自動車の件について、もともと労基法上の労働時間とは、『使用者の指揮監督下にある時間』。実に抽象的です。実際の始期と終期は、『絶対記載事項として就業規則で定めなさい』として基本的には会社、あるいは労使で決めるべきものとしていることが原因なのでしょうね。
 ただ、三菱重工長崎造船所の件のように労働者が納得できない場合には、『客観的に判断せする』といったところでしょうか。

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